信号機ってよくできてるNE
獣王伝 雷血
第二章『とめてクライシス』
前回からのつづき
「むむむ、だんだん見えて……ゲゲゲッ!」
ルイチは声をひっくり返して絶叫し、少しだけ後ずさった。
感嘆の声を上げたルイチに反応して、朱雀と名乗るヒヨコは小さな羽根を大きく広げ、いばるようにふんぞり返る。
「このヒヨコの体内霊脈! これはまるで燃え立つ猛火の如く! その質、量、共に良し!」
「フッ」
ヒヨコは自慢げに一笑し、ないはずの前髪をかき上げ、俺に目線をぴったりと合わせた。
眼が笑っている。嬉しそうで何よりだ。
「この者の霊脈色! まさにこれ正真正銘の赤! 紛れもなき赤! 疑いようのなき赤である! この赤は明らかに赤い! 青でもない、黄色でもない、赤である! 幼稚園児でも知ってるぜ、赤は」
ルイチはそこまでで言葉を止め、自身の眼前で握った両拳をすっと降ろした。
そしてヒヨコを見下ろし、またヒヨコもルイチを見上げる。
その瞬間、二人の中で、何かが通じたかのように
「「『止まれ』だ」」
寸分の狂いもなく、二人は声を合わせてそう言った。
二人はとても穏やかな、柔らかい表情になっていた。
ルイチはヒヨコとなるべく目線を近くする為に、その場にしゃがみ込み、手を差し伸べた。
「やっと納得してくれたピヨか?」
ルイチは優しく微笑みながら、うんうんと頷いた。あんなふうに素直な笑顔をしている時のルイチは、案外なかなか可愛いものじゃないかとも考えてもみる。どうやらルイチは、ヒヨコが本当に朱雀なのだと判断したよう様子だ。
「もちろんじゃとも、久しぶりじゃな水戸洋平」
「「いやいや! おばはんっおばはん!!」」
俺とヒヨコは、声を荒げてそう言った。
つづく