コーラうまぁ

boredoms2011-01-23

もう最近コーラしか飲んでいないような気がする、おいしすぎるコーラ。
クソどうでもいいこと書きますけど、僕はコカコーラ派です。
あと豊郷小学校は素敵すぎる!
豊郷小学校行ってきた記念の第一弾の画像は、唯さんの飛び出し小僧です。
ぉかわり。



獣王伝 雷血
第三話『青龍 其の二』


 青龍継承者である五百旗頭 蘭々が四聖を裏切った。
 先日、そんな不吉な情報をくれた朱雀であったが、『お気に入りの空き地に生えている雑草を食べる』という重要な日課があるとかでそそくさと飛び立ってしまったので詳細はわからないでいた。
 もやもやしながら日曜日を過ごして、月曜日の朝が来た。
 その情報が真実なのか、それは学校に登校しているであろう五百旗頭本人に聞くのが一番手っ取り早いと俺は考えた。
 ルイチの「今日は暇だからお前の代わりにわしが登校してやろう」というありがたい提案を即座に却下して、俺は学校に向かった。
 とりあえず鞄を置いてから五百旗頭のいる二年三組にでも行ってみようと思いながら、自分のクラスである教室の扉を開いた。
 いつもなら朝の挨拶が同級生達から聞こえてくるのだが、それが今日は違った。
 教室に入ってきた人間が俺だとわかると、教室内がざわつき出したのだった。
 何事かと目をぱちくりしていると、友人が声をかけてきた。ちなみにその友人の名前は猫田 文左衛門(ねこた ぶんざえもん)という嘘のような本当の名前だ。
「一豊、お前とんでもない奴に目を付けられたもんだな」
「おはよう餃子。で、どういう事なんだ? なんだか教室のみんなも俺をちらちら見てるような気が……」
 餃子とは、この猫田のあだ名である。一年生の時、お弁当箱一杯に餃子を押し込んで持って来たその日から、こいつのあだ名は餃子になった。
「そりゃ見るさ、いいから早くお前の机を見てみろよ」
 猫田に促されて、俺は自分の机へと急いだ。
 机上にはセロハンテープでメモが一枚とめられていて、こんな事が書いている。
『放課後、屋上に来い。絶対に来い。 五百旗頭 蘭々より』
 どうやら五百旗頭の方が先手を打ってきたようだ。
「一豊、お前何やらかしたんだよ? あの番長から呼び出されるなんてよ、もし俺だったらメモを見た次の瞬間には漏らしてるね。ジュースおごってやるから元気出せよな」
 猫田は俺の肩にできるだけ優しく手を置いて、励ましの言葉を贈ってくれた。
 そんな猫田の行動やクラスのみんなの反応を見る限り、『番長 五百旗頭 蘭々』という存在に相当な畏怖の念を抱いているのがわかる。
 五百旗頭はこのクラスのみならず、全校生徒から恐れられていたのだった。


 放課後、二組のみんなからの暖かい声援を背中に受けつつ、俺は指定場所である屋上へと向かった。
 屋上に出る扉の前まで来て、俺は深呼吸を一つしてから扉を開けた。
「おー、吾妻君や!」
 早速、弾けるような五百旗頭の声が飛んできた。
 屋上は伝統的に番長の縄張りとされており、現在の番長である五百旗頭もその伝統を引き継いでいた。
「来てくれたやねー、遠慮せんと入って入って!」
 五百旗頭はティーカップに注がれている紅茶をすすりながら、大手を振って俺を招き入れてくれた。
 屋上には学校の机と椅子の一式が五つ持ち込まれており、給食の時間の時のように四つの机は寄せられていて、残る一つの机はいわゆる先生が座る位置の所、要は上座に、白と黒を基調にしたいわゆるメイド服を着込んだ五百旗頭が座っている。襟首の辺りまで伸ばされた赤毛のボブカットヘアーには、カチューシャまで装着している本格的なコスプレだ。
 ただなぜそんなコスプレを、ましてや学校の屋上で着込んでいるのか、まったくの謎である。
「い、い、い、いらっしゃいませー……」
 突然、弱弱しく投げかけられたその声は聞き覚えのないものだった。声のした方へと目線を移すと、鮮やかなショッキングピンクの色をしたエプロンを着けて二足歩行で歩く猪が視界に入った。
 身長は約130センチといったところで、不安そうに俺を見上げている。同じくして俺も不安そうな顔でそれを見返した。
「しゃっせー」
 次に気だるそうに発せられた声も、やはり聞き覚えのないものだった。視線を猪から声のした方へと移す、くせ毛の黒髪をいじくりながらどこを見ているでもなく空の方をぼんやり眺めている女性が立っている。年の頃は俺とそんなに変わらないように見える彼女は、白いTシャツにジーンズという簡素な服装ながらも、抜群のスタイルの良さが相まってこの上なくお洒落に決まっている。まるで休日のモデルさんのようであり、正直言って綺麗だ、気だるそうにして姿勢をだらしなくしているのが実にもったいない。
「ようこそおいでなすった、どうぞお座りになってくだせえ」
 落ち着いた心地の良い低音の声がした、これも知らない声だった。声の主は、他に言い表し様のないほど、牛そのものであった。
 もう本当に牛で、こいつに至っては二足歩行すらしていない本当の牛だ。頭には大きくなめらかな角が生えていて、その先端は前方に伸びたかなり迫力のある立派なものだ。
 黒みがかった茶色の毛並みに身に着けているのは、目が醒める様な真っ赤なタンクトップ一着のみである。どうやって着たのだろうか。
 俺は深くて長い溜息を一つする。
 その間少しだけ考えてみた、二足歩行の喋る猪、気だるそうな謎の少女、喋る牛。
 溜息を終えて、せっかくなので牛の言う通り椅子に座ってから、五百旗頭に目線を送る。
「なぁ五百旗頭、こいつら」
 干支者だよな? と発する辺りで、五百旗頭は一杯に開いた右手を前に突き出して俺を制止させた。
「みなまで言わんでもわかっとる。そう、この子らは干支者やよ、ほらみんな自己紹介しい」
 そう言われた二匹と一人は、一列に並んで自己紹介を始めた。
「ぼ、僕は亥の刻の担当者、名前は鯨波といいます」
 そう言って鯨波は丁寧にお辞儀をしてくれたので、俺もお辞儀をして返した。
「命令すんじゃねぇよブスが! 臓物引きずり出して天日干しにすんぞゴラァ! ちっ……クソめんどくせえ、あたいは午の刻、ひのえ」
 五百旗頭におもいっきりガンをとばしながらそう言ったのは、さっきまでは謎の美少女だった彼女だ。干支者だったのもショックなら、口の悪さにもショックを受けた。
「あっしは丑の刻の担当者、名前を吉野と申しやす、以後お見知りおきを」
 落ち着いた物言いでそう言った牛、いや吉野は、深く頭を下げた。
 とりあえず一通りの新キャラクターの自己紹介も終わったので、五百旗頭に『四聖裏切りの真相』を切り出そうと思った。
 がしかし、吉野の自己紹介が終わるや否や、五百旗頭は持っていたティーカップを机上の皿に勢いよく置くなり立ち上がった。
「ただいまより、ここに新しい部活を発足させます!」
 右手を高らかに挙げて、五百旗頭はそう宣言した。
「ちょ、き、急に何を言い出すんだ五百旗頭」
 目を丸くして、俺はひどく困惑した。
「よっ、決まってやすぜ姉御!」
 鼻息を荒くした吉野が声援を送ると、五百旗頭はそれに「へへへ」と嬉しそうに照れ笑いで答えた。
「よっしゃ、まずはこの五人で部を盛り上げていこうやなの、なぁみんな」
 五人。
 という事は。
「なんですでに俺も部員になってるんだよ! だいたいどういった部活なんだよ?」
「それはズバリ、『番長に何でも相談してみよう部』や!」
「語呂が最悪! 俺はそんな部活入る気は毛頭ない!」
 俺はきっぱりと軽快なリズムでお断りを入れた。
「あらあら〜大声張り上げてえらい怖いわぁ、部長さん」
「……なんだって?」
 すると五百旗頭は、部活発足の申請書なる用紙を俺の眼前に持ってきて『部長:吾妻 一豊』と書かれた欄を指差した。
 そして次に俺を指差して。
「部長」
 そう言った五百旗頭の顔は、何の悪気も無い笑顔だった。
 俺はこの時をもって、『番長に何でも相談してみよう部』の部長になった。というか、すでに申請されていた。
 思わず見上げてしまった空は、腫れぼったい雲で一杯になっている。
 夜には、雨が降りそうだ。