みんなに伝えとけ。甲子園は見るモンじゃねぇ、行くとこだってな。

boredoms2010-05-23

ホームランバーのプレミアムが裏のコンビニで売ってたので買いました。
美味しい!味濃!やるぜ協同乳業様!
まぁ、まずは食べてみて下さい。



獣王伝 雷血
第十三話「白虎 其の一」


 突然、それは現れた。
 俺の頭上へと落下、直撃したそれは、足元へと落ち着いた。目線を落とし確認すると、それは一本のビデオテープだった。
 頭上への瞬間的な痛みに声を上げようとしたが、前回と同じく、声も出なければ身体も動かない。それ以前に、なぜ夢なのに痛みを感じるのか疑問に思った。
「痛みを感じるだろう? それもそのはず、これは夢なんかじゃないのさ、この世界は私の世界、おまえの精神体をここに呼び寄せたんだ」
 心中を察したかのように、白虎は俺に語りかけた。
「ところで、そのビデオテープには、おっと、待て待て待て! おまえが期待しているようなエッチなモノは入っていないぞ! ソワソワするな!」
 おまえが待て! 思うかよそんなこと!
 四聖の一角を担う奴のはずなのに、どうもノリが軽いなこの虎。
 心の中でつっこみを入れている間、白虎はビデオテープを口にくわえ、器用にテレビデオへと差し込んだ。
「このビデオテープには、お嬢の、あ、お嬢とはルイチ様のことだよ、お嬢の記憶の断片が記録されている、あんな映像やこんな映像やそんな映像やファン待望のスクール水、って、おまえ今何を考えた! 落ち着け! ソワソワするな!」
 おまえが落ち着けや! 真面目にやれ猫野郎!
テレビデオがあって、このビデオテープが私の世界に落ちてきたということはだ、今おまえの身体に、お嬢の霊脈による力が介入していることを意味するんだよ、このビデオテープはその力の副産物だ」
 そこで白虎は鼻を一度鳴らし、俺の足に鼻をこすりつけた。
 大量の鼻水でズボンがテッカテカに光っていた。ええい、冗談ではない!
 イラつく俺に構うことなく、白虎の話しは続く。
「今の状況を説明するとだね、お嬢はおまえに霊脈式治癒術を施しているところだ、霊脈によっておまえの自然治癒能力を増幅させているんだよ、だからおまえはまだ死んだわけじゃないんだ、敵であるネズミ男爵も、なぜが大人しく待ってくれているようだ、あのネズミ、なにか企みでもあるんじゃないかな」
 俺は、ネズミ男爵に腹を刺されて死んだわけではなく、今はただ気を失っているだけのようだ。
 とりあえずは安心したけれど、それと同時に不安が生じた。
 治療が終わって、目を覚ましたところで、今の俺ではネズミ男爵を倒すことはできない、ルイチの努「力は無駄になってしまうわけだ。俺はなんて無力なんだ、駄目だ、アホだ、虫けらだ、アホだ、屑星だ、アホだ、いや、アホだ」
 ルイチの努力、あたりから白虎が喋っていた。
 心の声を声に出すんじゃない! 田井中律か! りっちゃん隊員か!
「心配無用だよ、だから私がいるんじゃないか、せっかくだしそろそろビデオを再生させようか」
 白虎はそう言って、再生ボタンを爪で押した。だが、爪は思いのほか鋭かったようで、「バキッ」という音と共に再生ボタンが真っ二つに割れ落ちた。
「ニャンだってぇー!?」
 ザ・猫の叫び声を上げて、酷くうろたえる白虎に興味がないわけではなかった。けれども、テレビデオに映し出された映像の方が遥かに優先順位が勝っていた。
 地獄というものが本当に存在するのかは知らない、でももし、存在するのなら、それはきっとこんな風景だ、そう思わせるに十分な内容だった。