ルイチの画像がハマりすぎ(pixivより塩芋様の絵を勝手に採用)

boredoms2010-03-23

獣王伝 雷血
第6話「説明 其の一」


 子供がコスプレでもしているのだろうか?
 そう思ったけれど、それは違っていた。
 なにせ謎の少女の髪の色が、銀色なのだからそう思うのも仕方がない。
 銀色の髪なんてものは、アニメや漫画の世界だけに存在するものだと思っていた、でも俺の目の前にいる少女は、ちょうどそのアニメや漫画ぐらいにしか存在しないような銀色の髪をしていた。
 それにロングヘアーで、髪が畳に着いてしまっている。恐らく立ち上がれば腰あたりまであるロングだ、それに相当に綺麗な髪のようで、くっきりと天使の輪ができている、きっとこれが若さというものなのだろう。
 見たところ、外見は小学生ぐらいにしか見えないが、こんなに目立つ髪の毛をした子供は近所にはいなかったように思う、いや絶対にいない。
「あら、お帰りなさいカズちゃん!」
「た、ただいま…今この子が言ってた事ってよ…」
「…聞いての通りだ一豊、豪はな」
「仁成、その話しはわしから話そう、まぁとりあえず座られよ」
 と、指示されたものの、俺が日頃座ってる場所には謎の少女が堂々と座っていた。
「なにをぼんやりしておるのじゃ、早く座られよ。さてはお主、わしの美貌に中てられてしもうたのか? 無理もないのぉいつの時代もわしは罪作りな美…」
 喋っている途中だったが、まったくもってそんなことはなかったので、適当なところに座った。
 あいにく俺には、ロリコン属性はない。
「うむ、ではまずは自己紹介じゃ、わしの名は天宮ルイチ(あまみや るいち)と申す」
「はて? ルイチ殿よ、確か天使(あまつか)という名字ではなかったですかの?」
「なんじゃまだボケてはおらなんだか仁成、確かに昔は天使だった、でも元来わしには名字など存在せんのだ、でも名乗るとき名字がないとしっくりこないであろう? 天宮というのはさっき考えたんじゃ、天使というのはどうも狙いすぎかと思うてな、どちらが可愛いかの?」
「うむ、確かに天使はちと狙いすぎな感はあるが、可愛い度では天宮より天使の方がよいと思うが、ころもさんはどう思うね?」
「はい!」
 母さんが、綺麗に手を上げ
「苺畑が良いと思います!」
「苺畑となママ殿! むう……甘酸っぱい中にもどこか凛とした風格がある、まるで……そう、まるで過ぎし日の初恋の様だ……よしっ今日からわしは苺畑ルイチじゃ!」
「なんでもいいよ! 何、苺畑って!? 何、今の解説!? 名字はもう十分だ、ルイチって名前だけはよくわかったよ、俺の名前はもう聞いてるかもしれないけど一豊だ、それより早く説明してくれよ、親父の事、あとはなんでこのルイチは子供のくせにこんなに偉そうなのかとか」
「せっかちな奴じゃな、作者が詳細な説明パートを書く脳ミソがないから引っ張っておるというのに」
 なにやらぶつくさ言いながら、ルイチはオムライスの最後の一口を食べた。
「むっぐむぐ……馳走になった!美味であったぞママ殿!」
 そう聞いた母さんはニコニコしながら、ウエットティッシュでルイチの口の周りについたケチャップやら米粒やらを拭いてやっている。
「さて、お主の父上の事を話す前に、わしの事を話そう、お主はわしの事を小学生ぐらいの童と思うておるだろうが、こう見えて、ざっと見積もって千歳ぐらいなんじゃぞ」
 真顔でそう言われてしまった、今日はどうにも可笑しなことが多い、夕方にはねずみの化け物に出会って、夜には千歳のガキが家にいる、今日の俺はドッキリカメラにでもハメられているのだろうか。
「待ってくれ、それをすぐに信じられる奴がいたとしたら、猫型ロボットの横にいる眼鏡の少年ぐらいだと思うぞ」
「信じられないのも無理はないが、事実だから仕方がない事じゃ、わしを信じろ、のび太君だったら今頃はもうすでにタケコプターをつけて、わしと共に世界を救いにいっておるところじゃぞ」
「何か証拠はないのか? 例えば歴史上の人物の話しとか、千年も生きてりゃなんかあるはずだろ? ベタすぎるけど織田信長とかさ?」
「む! 信長か、もちろん知っておるぞ、第六天魔王と謳われた奴の事を忘れるわけがなかろうて」
「本当に!? 俺けっこう好きなんだよ戦国時代の話し、他には?」
伊達政宗とかいうのもおったかの、ハーレーみたいな馬に股がりながら巧みに英語を話すんじゃ、レッツ・ポーティーや!」
「急にどうしたよ、おい?」
真田幸村というのも活躍しておったな、とりあえずなんか赤かった印象しかないがの」
「確かに赤揃えの甲冑で有名だけど……」
明智光秀も知っておるぞ、あやつはどうにも悪い奴でな、徳川家康を殺したのは奴の仕業じゃ」
「げ!? 明智光秀徳川家康を!? そんなの歴史がひっくり返るじゃないか……」
「そうじゃな、だが、それが事実なのじゃ、ちなみに徳川家康の家臣にはロボットが一体おるんぞ」
「ろ、ロボット!? からくり人形とかじゃなく!? それが本当の歴史だっていうのか?それをおまえはその目で見てきたというのか?」
「うむ、昨日見たしな」
「……昨日?(昨日の事の様に覚えているって事か?)」
 後でわかった事だが、今こうしてルイチが話している内容はすべて、戦国時代を題材にしたとあるテレビアニメの内容だったのだが、この時の俺はそのアニメを知らなかったので、すでにこの時点でルイチが「千年生きている」ということを少し信じてしまっていた。
「まぁ信じられないのも無理はないがな一豊、このお方が千年間生きているというのは本当だ、この仁成が保証しよう」
 じいさんが言うには、雷血の家に代々伝わる古文書などにはこのルイチの名前がいくつも記されているそうだ、しかしその古文書でさえせいぜい500年前のものらしい。
 そして何より、じいさんは若い時に実際にルイチに逢っている、じいさんがルイチに最後に逢ったのは60年前のことだそうだが、その時とルイチはちっとも変わっていないという。
「あら、じゃあ人生の先輩さんなんですね、ルイチちゃんって」
「そうじゃぞママ殿、わからない事があったらなんでもわしに聞くがよい」
 などと話しているが、今の二人の姿なんて、ルイチが母さんのひざ枕でゴロゴロしているので、年上とか年下やら何がなんだかわからない、リラックスが過ぎやしませんかルイチさん、一応お客さんですよねあなた。
「まぁこれでわしが千年は生きておるということはわかってもらえたと思う、そして千年も生きておればわかる事がある、お主、今日でかいねずみに逢ったであろう?」
「なんでその事を!?」
 それを聞いたじいさんの顔が、一瞬ではあるが変わった気がした、試合の時などにみせる顔とはまた違った、俺の知らない顔だった。
「ここに来る途中、すれ違ったからじゃ」
 え? それだけ?
「そう、それだけじゃ、だがそれだけで全てがわかる、奴が干支者であるということ、そしてついにその時が来たということもな…」
「時が来た? 橋本真也か?」
 ひざ枕から猫まっしぐらさながらの速さで起き上がり、俺の鼻っ面に人差し指を突き付け言い放つ
「この星の、いやこの田護崎町の、いや、吾妻一豊! お主自身の命運を決まる時じゃ!」
「俺の…命運……?」
「さしずめ、のび太の十二支大戦記じゃ!」
そこは、獣王伝じゃなくていいのかルイチえもん。


つづく