カラオケこえ〜

boredoms2010-03-09

先日、今時の人とカラオケ行ったんですが、怖かった。
アニソンなんて歌わないんですよ今時の人は、ファンキーモンキーなんたらとか、グリーンとかコウダクミさんとか歌うんですよ。
あの時の心境は、まるで画像のピッコロさんみたく。
ねぇオタクの皆さん(私も)、こえ〜ぞぉ今時の人とのカラオケ。


獣王伝 雷血
第四話「理由」


 ネズミ男爵が言うには、高砂雪江を連れてきたのはあくまでついでのようで、本当の用件は俺を殺し来たそうだ。
「突然でビックリしたでしょうが、まぁ聞いて頂きたい」
 殺すと言われて落ち着けるわけはなかったが、実のところ俺にも命を狙われる理由が無いわけではなかった。
「私のもとに昨日、指令が下りましてな 〜雷血次期継承者・吾妻一豊が白虎の力に目覚める前に、速やかに抹殺せよ〜 との上からのお達しでしてね、お分かりですな?」
 目の前にいる化け物、俺はこういう人智を越えた生物が存在しているという事を知っていた。それどころか、世界的に知られている。それでも、存在しているという事を知っていても、実際に目にした人間は皆無だ、だからこそ俺は極度に恐怖しているわけだ。
 こういう生き物を、俺達人間は干支者(えとのもの)と呼んでいる。
 その干支者を監視、封印、消滅させる役目を課せられた組織を、四聖(しせい)という。
 俺が命を狙われる理由は、そこにあった。
 四聖は、東守・青龍(ひがしのかみ・せいりゅう)、南守・朱雀(みなみのかみ・すざく)、西守・白虎(にしのかみ。びゃっこ)、北守・玄武(きたのかみ・げんぶ)という、四つの担当で成り立っている。
 それぞれの守護聖獣を身に宿し、異形の者を遥かに凌駕する力でそれを淘汰する存在、そういう風にじいちゃんからは聞いている。
 その一旦を担う、西守・白虎を代々継承している一族・雷血、その末裔が俺、吾妻一豊だ。
 雷血とは当主が継承する名前なのだが、その名前はまだ父親のものだった。
 俺はねずみ男爵の言うように、白虎の力にまだ目覚めてもいなければ、当然継承もしていない、これは非常にまずい状況だ。
 ただ、白虎の力に目覚めていないとはいえ、雷血代々に伝わる流派、蒼天流の師範代という腕前は持っていた、並みの強盗ぐらいなら軽く倒せるぐらいの心得はある。
 でも、それがどうだというのか、目の前にいるのは並みの強盗ではなく、2メートルはある巨大ねずみだ、しかも男爵ときている。
「提案があるんだ男爵、今日はとりあえずその肩に担いでいる高砂さんをそこに置いて帰ってくれないか? 今日はちょっと用事があってな、忙しいんだよ俺、親戚の法事とかでさ」
こんな嘘を言ったところで、この場をなんとかできるとは思えなかったが、やってみないとわからない。
「そうですか、まぁ元より今日は帰るつもりでしたので」
 帰ってくれるらしい、なんとかなったようだ。
「帰る? さっき殺しに来たって言っていたのは」
「殺すという事に関しては変更はございません、だがそれは一週間後の話しだ、今日はそれを貴殿に告げにきたのです、上には発見次第すぐに殺せと言われていたが、力に目覚めていない人間同然の貴殿を殺すなどという不粋な行為は、私の主義に反するものでね」
「さすがは男爵ってところかな、なんならそのまま見逃してはくれないだろうか?」
「それも主義に反するよ、一度受けた指令は必ず遂行する、これが私の主義だ、ただフェアでいたいのだよ私は」
ねずみ男爵は会話を交わしながら、机をいくつか並べて、肩に担いでいた高砂雪江をそこにそっと寝かせた。
「地図を渡しておこう、私の家までの道順も書いてある、一週間後、私の家に来ていただきたい、勝手ながらそこで貴殿を殺す事にしよう」
「行かないかもしれないぞ、人質に高砂さんを連れて行くのがセオリーじゃないのか?まぁ連れて行かれても困るけどな」
「お嬢様はお返しするよ、人質など必要ない、ましてや貴殿が待ち合わせに来なくても別に構わない、その時は私がどこまでも君を追うだけだ、だから一週間じっくり考えてくれたまえ、力を目覚めさせる努力をするか、はたまた逃げるか、それは貴殿の自由です、だが私は必ず貴殿を殺す、これだけは決してぶれることのない決定事項であり、それこそが私の全てだ」
 ねずみ男爵は、高砂雪江を寝かせた傍らに地図を置き、一礼して帰っていった。
 時計を確認したら、時刻は19時10分を指していた。