いやー寒い

boredoms2013-01-08

今年もよろしくお願い致しますです。
部屋を掃除したい! でもめんどくさい! よし掃除しってやっぱりめんどくさい! でもやっぱり掃除ってやっぱり嫌! あー掃除したい! でもめんどくさい! 掃除機持ってくる動作がめんどくさい! でも!掃除したい! でもッ! と、こんな脳内サイクルをぐるぐると繰り返して、結局なんにもしなかったお正月休み……駄目な人間だとつくづく自分が嫌になる今日この頃。
というわけで、とりあえず今年の抱負は『部屋の掃除』をぶち立てたいと思います。
いやぁまぁそんなことより、テレビ大阪で放送している「やすとものどこいこ!?」面白いですわぁ、いいわぁあの番組。



獣王伝 雷血

第二章『とめてクライシス』


 時刻は、午前八時を少し廻ったころ。
 俺は首元がヨレヨレになった寝間着用のTシャツと半パンを軽快に、そして豪快に脱ぎ捨て、爽快にそれらをたたんで、そして素っ裸で仁王立ちを決め込む。
 カーテンも閉めてあるし、何より自分の部屋なのだから、素っ裸だろうが何だろうが問題はないはずである。
 外からはわからないように、カーテンの隙間から外の様子を伺う。
 雲もなく、風もない、今日は六月のくせにやけに天気の良い日だ。
 実に、平和な日曜日である。
 こんな日に、一人で紅茶を飲みつつ、スコーンを食べるのが俺の密かな楽しみだ。
 密かなと言うくらいなのだから、本当に密かに、俺は紅茶セットとスコーンを自分の部屋にある机の引き出しに隠すように保管してある。自分でも実に陰湿的だとは思うが、そうでもしないと、隠してあるはずのスコーンがある日忽然と姿を消すのである。
 犯人の目星はだいたい付いている。いや、だいたいというか、絶対的である。あいつだ、あの女しかいない。
「実に楽しそうで何よりじゃなモシャモシャ」
 そう、俺が目星をつけているのはこいつだ。
 目星も何も、というかもうモシャモシャとか言って、スコーンを右手に持って美味しそうにほうばっているご様子なのだからたまったものではない。
 この女の名前はルイチ、その身体は子供のようだが、頭脳と心はクソおばあ様である。銀色の長い髪、ど真ん中に『焼き芋』とだけ書かれた白いTシャツとジーパンを履き、今まさにスコーンを片手に俺の目の前に立っている。
 ところでだ。
 ところてん、いや、ところで、俺は今、絶賛素っ裸なわけだが。
 そんな俺の目の前に立っている、この子は。
 このルイチは。 
「……いつからここにいた?」
「おぬしが寝間着用のTシャツと半パンを軽快に、そして豪快に脱ぎ捨て、爽快にそれらをたたんでいるところからここにおったぞモシャモシャムシャリムシャリピンピロピンピョンピンミギャー」
 スコーンをどのようにして食べたらそんな音が出るかまったくもって謎であるが、今はそんな事はどうでもいい。俺は、今まさに素っ裸のこの俺は、白虎の力を解放して超高速でカーテンにくるまった。単純に、この世界からいなくなりたい。そう思った。
「……なんかさ、なんかごめんルイチ」
 なぜ俺が謝っているのかは、自分でもわからない。ただただ、カーテンを持つ手が震えた。
「気にするでない、続けろ」
「つ、続けろって、別に続きはないんですけど……というかお前早く出て行けよ……」 
「あ! それはそうとな、ほれほれ、となりの内山さんから回覧板をもらってきてやったぞ一豊や、わし偉いか? 偉いよな? 偉い人には褒美があるよな? な? これ自然の摂理な? 褒美はショートケーキでよいぞ、ホールでな」
 ルイチはそう言って、上目使いで俺に回覧板を差し出す。
 その世で一番不要で不快な上目使いだ、吸血鬼のスタンド使いの方がまだ可愛げがあるというものだ。
 もうここは流そう、何も無かった。そう、何も無かったかのように流すのが懸命である。
「おぉー偉い、偉いぞぉルイチ。な、お前は偉いよ。はい、わかったからその回覧板はジイさんにでも渡してきなさい」
「ほぁ、ショートケーキのくだりをガン無視とはな、わしもなめられたものよのぉ、アメだけに。……ゲラ……ッゲゲゲ」
 ルイチは肩を揺らし、自身のジョークに自分で笑わないように堪えている様子だ。なにが面白いのだルイチよ。
「ゲゲゲじゃねぇよ! さっきの会話のどこにアメが出てきた!? ヘタくそめッ!」
「黙れ小僧ッ! おまえにサンがってそんな事よりな、この回覧板に気になる事が書いておるのだ、読んでみろアシタカしょんべん小僧」
「アシタカに謝れ、どんだけ口が悪いんだよこのヒロイン」
 カーテンがめくれないように上手いこと回覧板を受け取り、内容を確認する。この家からもそう遠くない空き地に、一匹の犬が住み着いたという内容だった。なにやらその犬は、朝から晩までずっと吠え続けており、近隣住民が迷惑しているらしいのだが。
「これって……回覧板で廻すほどのことなのかな?」
「おぬしもそう思うか? これはよっぽどうるさいのであろうなぁ。すごく気になるぞ、わし!」
「あーそうなの……あの、それよりもさ」
「よしっ、今すぐに見に行こう、わしは一度その犬ッコロを見てみたいのじゃ! 燃えってきたぜッ!!」
「あの、その前に」
「なんじゃ?」
「服を、着させてくれないか」


つづく