みっしょんこんぷりーと!

boredoms2012-01-22

長かった…。
これでやっと、けいおん!飛び出し小僧のラストを飾るさわちゃん先生を画像にアップすることができた。ほんとにここまで長かった、最初に唯さんの画像をアップしたのが去年の一月二十三日ですから、あと一日遅かったら危うく丸々一年かかるところでした、というかもう一年かかりました。一年って早いなおい、ありがとうござました。
次からどんな画像にしようか。





獣王伝 雷血【 番外編 Last Challenger 】
第六話「挑戦者、恐怖し、そして興じる」


「おうルイチ、どこで何してるんだ?」
 餃子の部屋に上がり、ラストチャレンジャーの最中、一豊からわしの携帯電話に電話がかかってきていた。
「おう一豊や、何をしておると思う? なー?」
 わしはあぐらをかいて、餃子が出してくれたサイダーを一口いただく。なお、今現在あぐらをかいているのは今日の服がズボンだからである。ママ殿が買ってきてくれた、カーキー色の可愛らしい七部丈のズボンだからである。スカートの時にはもっとしおらしく、きちんと正座で座る事ぐらいは容易にこなす淑女だということを、ゆめゆめ忘れないでいてもらいたい。
「なーじゃない。わからないから聞いてるんだろうが」
「ちぇっえええー冷たいのーちぇっえええん」
「んな事より、早く帰ってきなさいって母さんが怒ってるぞ」
 その瞬間、背筋に悪寒が走る。ママ殿だけに。ゲラ、ゲゲゲ。なんて、つまらない事を考えている場合ではない。
「おわたたた、ママ殿が怒っておるのか? だから電話をかけてきたのじゃな……ど、どれくらい怒っておる?」
「もうそりゃプンプンしてるぞ。プンプンしすぎて、さっきから雑巾をしぼっては濡らし、またしぼっては濡らすという奇行を繰り返してるよ」
 それを聞いて、あぐらをかいていたわしはその姿のまま飛び上がった。体感で、軽く三十センチくらいは浮いただろうか。その様子を見て、餃子は思わず声を上げる。あぐらをかいたまま飛び上がることができるなんて、人間が兼ね備える恐怖への反射神経というものはなかなかに侮れないものだと、さっきよりも三十センチ高くなった目線でしみじみと考えた。
「ママ殿恐いっ! ごめんなさい! ごめんなさいごめんなさい!」
 いつもは優しいママ殿は、怒ると恐いのをわしはよく知っている。
 昨日だって、風呂上りに裸で家中を走り回っていたら、いとも簡単に捕まって、尻を平手で力の限りに叩かれた。五回もだ。数時間はわしの尻から紅葉型の痕が消えることはなかった。
 あぐらのまま飛び上がり、その着地と同時に土下座をした。その行動に、また餃子が声を上げた。電話口の向こうにいるママ殿には今のわしの姿が見えるわけも無いのだけれど、深く、それはそれは深く頭を下げた。この想いがどうか届きますようにと、頭を下げた。
 薄い青色のボーダー・チェック・ストライプの柄をしたワンピースからは、柔軟剤の甘い香りがして、今日の朝にこのワンピースを着せてくれたママ殿の優しい、抱きしめたくなるような笑顔を思い出していた。今はもう、あの笑顔はどこかに消え失せて、さながら般若面の様になっていると思うと、寒くもないのに身体が震えた。
「あぁすげえ怖いぞ、また母さんに怒られるぞお前。もうそろそろ帰ってくるんだろう? 母さんには適当に言い訳しておいてやるから、だから早く帰ってこいってば」
 わしは身体を軽く震わせながら、土下座の形からゆっくりと姿勢を直していった。今の気持ちと状況的に、今度はあぐらではなく正座を選択した。なんとか気持ちを切り替える為に、残っていたサイダーを一気に飲み干す。恐怖と緊張でカラカラになっていた喉に、炭酸が痛いくらいよくしみた。
「で、でもの、まだもう少しかかるのじゃ、なんせ餃子とラストチャレンジャーをしておるからな」
「ラスト……チャレンジャーだって?」
「うんむ、ラストチャレンジャーじゃ。と言ってもお主にはわからんじゃろうがな」
「知ってるともさ、ラストチャレンジャー。略称はラスチャレ……」
「ぬ? 一豊?」
「1999年発売以来、日本だけではなく今や全世界において幅広い人気を誇るトレーディングカードゲームだな。おもちゃ屋さん、カードゲームショップ、百貨店や量販店のおもちゃ売り場、コンビニ、あとはカード自販機により絶賛発売中だ。主なターゲットは小学校から高学年男児、しかしながら大きなお友達が夢中になる事も珍しくはない」
「やけに詳しいではないか一豊! なんじゃ、どうした? お主のキャラではないではないか? お主は中身のない、何もない主人公のはずなのに」
「しまっ、あ! い、いや! テレビ、そう、昨日テレビで特集番組が放送してたからさ、お前と一緒に見てたじゃないか、はは! はっはは、ははは!」
「……確かにその番組は昨日やっておったが、わしは一人で見ておったぞ」
 わしはなるべくじっとりした低音で一豊の回答を否定した。
 怪しい。
 一豊は何かを隠している。とてつもない、何かを。
「あ!? いや! あの、いや!」
「……何よ」
「急に標準語になるなよ! なんか恐い! あぁ恐いわー女子って! えーと、あのー、あれだ、うん。と、とりあえず、早く帰ってきなさい!」
「じゃ、じゃがの! 聞いてくれ一豊よ、この戦いにはメロンがかかっておるのだぞ?」
「何! メロンだって!?」
「そうじゃよ、吾妻家のみんなが大好物のメロンじゃよぉ」
「……その戦いに勝ったら、メロンをもらえるのか?」
「うんむ、そうじゃ」
「ルイチ、ちょっと待ってろ」
 電話口の向こうから、ガタッと音がして、バタバタと早足で歩く音が聞こえる。
「おい母さん! ルイチがメロンを持って帰ってくるかもしれないぞ!」
 さっきまで一豊は家族がいる居間からは少し離れた廊下で電話をしていたようだ、恐らく話している内容をママ殿に聞こえない様にしてくれていたのだろう、帰ったらアメちゃんでもあげようか。
「うん、うん、え? めぞん一刻じゃないよ! メロンだよ! え? それなら許すって? だよな! っておい! 脱ぐなジイさん! 喜びすぎだろ! まだ『かも』しれないって段階だから! って母さん! それはメロンじゃなくて雑巾だ! 食べちゃ駄目!」
電話口を少しずらして家族にメロンの報告をしているようだ、喜び勇んでいるみんなの姿が目に浮かぶ。吾妻家のみんなはメロンが死ぬほど好きなのである。今はすっかり枯れ果てた仁成まで、メロンが食卓に並ぶと一豊と奪い合いをするくらいだ。ママ殿の怒りを回避する為にも、これはなんとしもこの戦いに勝ってメロンをゲットしなればならない。
「母さんの許しが出たぞルイチ! ところで、そのメロンはちゃんと熟した食べ頃なんだろうな?」
「あったりまえじゃ! このわしが認めた食べ頃の美味しそうなメロンじゃ」
「……よし!」
「よし!」
「んじゃ迎いに行くから、あんまり迷惑かけずにいるんだぞ」
「いや別にお迎えなどかまわんぞ、子供でもあるまいし」
「母さんが迎えに行けってうるさいんだよ、応援して来いってさ」
「別によいのに、まぁそれならば気をつけてまいれよ」
 携帯電話を切り、餃子の方へと向き直る。
「中断して悪かったの、餃子」
「いやいや全然かまわないよ。吾妻、なんだって?」
「わしをお迎いに来るそうじゃ、別にかまわんのに」
「そりゃ心配するさ、朝の十時に家を出たのにもう少しで六時なんだからね、遅くなる時は家族の人に連絡しておいた方がいいよルイチちゃん」
「くっ……餃子が正論すぎて何も言えん! まぁそれより、そろそろゲームを再開しようではないか」
「うん、そうしよう」
 ゲーム開始からすでに五ターン目が経過しており、現在は餃子のターンである。
 お互いのプライドの残数は、餃子が残り五つ、わしが残り四つ。
 餃子のフィールドには、チャレンジャーカード『赤い狂戦士 トマト・リコピョン レベル1 BP(ブレイブポイント)1000』、『緑の伊達男 ピーマン・ビッグベン レベル1 BP2000』、『黄色い猛者 キャロット・カロティン レベル2 BP3000』が場に存在する。
 対するわしのフィールドには『銀天六歌仙 拳闘士ミザール レベル1 BP3000』、『銀天六歌仙 料理長アリオト レベル1 BP2000』が展開しているものの、その全てがレスト状態である。ちなみにレスト状態とは相手の攻撃を防げない状態である。要は、餃子が展開中の三体が総攻撃を仕掛けてくれば、わしのプライド残数は一つになるわけで、非常にピンチとなるわけだ。
「ここで総攻撃を仕掛ければ、けっこうピンチなんじゃないのルイチちゃん?」
「ゲッゲラ! ぬかせ餃子小僧! やれるものならやってみい、できるものならばのぉ!」
 とは言うものの、餃子の言っていることはまったくの正論であり、実際このままではわしは窮地に立たされる事になるであろう。それにも関わらず、わしのこの余裕たるやこれいかほどに。もちろんの事、この余裕ぶりにはこの場の流れを変えることが出来る切り札があるからなのであり、諦めの末に開き直ったわけではまったくもって違う。
 現在わしの場に展開中である『銀天六歌仙 料理長アリオト』が存在する時にのみ使用できるレスキューカード『七星レストラン ムッシュ・アリオト』をわしは手札に持っているからだ。
 レスキューカード『七星レストラン ムッシュ・アリオト』の効果は、カード名に食材の名称が入っているカードを一体のみ料理(破壊)できる、そして調理(破壊)後、アリオト以外の自分のチャレンジャーカードがレスト状態で存在していれば、一体のみを選択し、それをアクティブ状態にする事ができる。
 条件が限定されている為にかなり使いにくいカードではあるが、餃子の様に食べ物をモデルにしたデッキ構成の相手には効果絶大である。これが決まれば、流れを変える事ができるはずだ。使うタイミングは幾つかのパターンが考えられるが、今回は三回目の攻撃を仕掛けてくる時にこのレスキューカードを発動させ、次のわしのターンでは餃子の場にはレスト状態のチャレンジャーカードのみ、てんでがら空きの状態を作り上げるのも悪くはない。餃子の苦虫を噛み潰した様な顔でも拝ませていただこうではないか。
「さらに僕は! レスキューカード『賞味期限切れ』を発動!」
「おぁぁぁーマジでかーーー!?」
 レスキューカード『賞味期限切れ』、このカードの効果は、カード名に食材の名称が入っている全てのカードは料理(破壊)されることはない。さらに、対象となったカードのBPを6000アップ。ただし、次の自分ターンのエンドステップ時に効果の対象になったカードは腐る(破壊)。
「野菜族にとって調理長アリオトは食材カードを破壊する専用レスキューカードを持っている天敵だからね、万全の対策を取らったよ!」
「ぐぅぅぅい……一端の料理人が、それもあの料理長アリオトともあろうものが、まさか賞味期限切れの食材を料理に使う事などできるはずもない……やってくれるではないか餃子ぁ! 小僧とばかり思っておったが、男子三日会わざれば刮目して見よというわけじゃな! こん糞ガキが!」
「ルイチちゃんも十分に糞ガキだけどね! それじゃそろそろチャレンジフェイズに移行するよ、まずは『赤い狂戦士 トマト・リコピョン レベル1 BP7000』でチャレンジアタック!」
「ツェアッ!」
 わしのプライドは、これで残り三つ。
「続けて『緑の伊達男 ピーマン・ビッグベン レベル1 BP8000』でチャレンジアタック!」
「ツェアアッ!」
 わしのプライドは、残り二つ。
「まだまだあ! さらに『黄色い猛者 キャロット・カロティン レベル2 BP9000』でチャレンジアタック!」
「ツェアアアッ!」
 わしの、プライドは。
「残り、一つ……」
「これで僕はターンエンドだ! さぁ次はルイチちゃんのターンだ。僕のプライドはまだノーダメージ、このピンチをどう乗り切るかな?」
「くぃううう」
 心が折れそうだ。カードをドローするのがとても億劫でたまらない。
 この場を乗り切るには、『銀天の王 アルカイド』を引き、ラストチャレンジャー宣言を発動して餃子の場を一掃するしか方法はない。
 がしかし、餃子の緑黄色野菜デッキの構成を考慮して、レスチューカード『七星レストラン ムッシュ・アリオト』を構築枚数限界の三枚に増やした為に『銀天の王 アルカイド』を一枚に減らしている。四十分の一という確率で、うまくアルカイドを引けるとは今の流れからして到底思えない。
「ぐぅぅぅ、やめたくなってきたぁ……」
「諦めるな」
 突然、声が聞こえた。
 これがまたやけに渋い声だ。
 目の前にいる餃子の声ではない、とすると一豊であろうか、だがそれにしては声が渋すぎる様に思う。
「最後まで挑戦をやめるな、自分で限界を決めるな! 最後まで諦めない心、それこそが勝利を掴む鍵だ!」
「おう吾妻来たのか、てか、今の名言っぱいの何? んで、お前いつの間に入って来たの? どうやって音もなくこの部屋に入ってきたんだよ気持ち悪いな! 全然気が付かなかったよ」
 これは餃子の様子を見る限り、何のことはない、ただの一豊のようだ。
「なんじゃ一豊か、お迎えご苦労」
 と言いながら、わしは一豊のいるであろう入り口の方へと視線を移した。
 移したところで、わしは声を失った。
 その人は、部屋の入れ口にあるドアにもたれ掛かって立っていた。うっすらと微笑みながら、左手をジーンズのポケットに突っ込んで、もう片方の手で髪をかき上げている。そして何よりも、すごくお洒落な赤ぶちのサングラスをつけている。
 わしは、この人を知っている。
 何を隠そう、あのお方こそ、わしの憧れの人なのだ。まさか、こんな所で逢えるなんて思ってもみなかった。
「吾妻、何してるのさお前? 何そのポージング、あと何その糞だせえグラサン? ボケなのそれ? あ、もしかしてオシャレのつもり? だとしたらあんまりイジらない方がいいのかなプッププスプス」
「パ、パ、パッ」
 あまりの興奮に声の震えを抑えることが難しい、胸がきゅとして、吐きそうだ。手は汗でぐっしょりと濡れているのが分かるし、顔が燃える様に熱い、耳も熱い、いつもより血液がドタバタ走る。それなのに、脳には血が足りずに頭がぼんやりとする。全てが、火照る。これが遠い昔に忘れてしまっていた、火照るという感覚であろうか。こんな気持ちは、実に八百年ぶりのことである。 
「パ? え、どうしたのルイチちゃん?」
 ワンピースの胸元を、右手できゅっと固く握り締める。喉が詰まる。ぐっと息を呑む。呑み込めない。喉か渇く。また再度ぐぐっと息を呑む。やっぱりうまく呑み込めない。
 嬉しいあまりに震える足の、両親指に一杯の力を込めて、できる限り慎重に立ち上がる。少しでも気を抜けば、倒れてしまいそうだったからだ。
 すっと息を吸って、くっと息を止めた。あの人の名前を、腹式呼吸で叫ぼう、そう心に決めた。
 わしの憧れ、ずっと逢いたかった人が目の前に居る。
 あの人は。
 あの方こそ!
「パッケージ中島さん!!!」 
「パッケ……え?」
 パッケージ中島さん、彼は若くしてラスチャレ界の絶対挑戦王に輝いた人で、ラスチャレのカリスマである。全ラスチャレプレイヤーの憧れであり、目指すべき目標とされている、生きた伝説のようなお方だ。ロングヘアーの金髪と燃えるような真っ赤なふちをしたサングラス、それに真っ白なコスチュームが特徴なのだが、今日はサングラスをかけているものの、上着は白いトレーナーにジーパンというラフなお姿だ。あれはきっと、そう、プライベートバージョンなのだろう。
「きゃおおおーん! ど! う! し! て! どうしてこんな所にパッケージ中島さんがいらっしゃるのでございますのことですの!?」
「え、どうした!? 何!? フルテンションじゃないかルイチちゃん! あと喋り方が変だよ! お嬢様の成れの果てだよ!」
 パッケージ中島さんは髪をかき上げ、ふっと微笑んだ。
「ずきゃゃゃーん! 髪をかき上げたお姿が最高にかっこよろしくてございますことですわよ! はぁはぁ」
「はぁはぁするな! 何これマジなのこれ、あれ吾妻だよ。糞だせえグラサンかけた吾妻だよあれ! 君のお家の人でしょうよ!?」
 間違いなく今、わしの目はぶっトんでいるだろうと思う。もう、わけがわからない。
 興奮というものは、人をこうまで高ぶらせるものか。餃子が何かを言っているのはわかっても、今のわしには言葉の意味まで理解する事はほぼ不可能である。
「なぁルイチちゃん、だいたいこんな所にあのパッケージ中島が来るわけないじゃないか、ていうかあれは吾妻だからね。後で吾妻が迎いに来るって言ってたよね自分で! ねぇ何これ、あんたらの身内ネタなわけ? 自分の家でやってよ! おい吾妻、お前もいい加減こっち来て座れよ、いつまで髪かき上げてんだよ糞だせえな」
 そしてまた、パッケージ中島さんは優しく微笑んだ。キラリと輝く白い歯が覗く。
「……導かれたのだよ、君達のチャレンジングエナジーにっね!」
「吾妻ぁぁぁ!!!」
「きゃー! お美しい歯でございますですこと! ご機嫌麗しゅう(?)!」
 パッケージ中島さんは華麗に親指を立て、餃子は派手にすっころんだ。
「この八百屋さんからチャレンジングエナジーがビッンビンに放たれていたよ、それはもう危険なくらいにね。あれだけのエナジーの放出を見たのは久しぶりさ、そんな戦いを、この私が見逃すわけにはいかないからね」
「そ、そんなにもビンビンでございましたですこと、わたくしたちのエナジーがですこと? マジのですのことの?」
「ルイチちゃん、喋り方……」
「あぁ、凄まじかったさ。あまりのエナジー質量に八百屋さんが傾いていたからね」
「すんげぇぇぇー! 傾いてたのすんげぇ危ねえでございますことですわ! あ、あの、その、ペッティングエナジーという」
「ちょ! チャレンジングエナジーね、ルイチ君」
「え? あぁ、チャレンジングエナジーとはどういったものでございますことですの?」
「チャレンジングエナジーとはね、挑戦者から放たれるオーラのようなものさ。君達のエナジーにはキラリと光るものがある。自信を持ちたまえ、君達は強い、この俺が保証する」
「う、嬉しゅう……ございまふでふわ」
 精神的に、軽くイってしまった。
「さぁルイチ君、次は君のターンだ、そろそろカードをドローしたまえ!」
「はい! パッケージ中島さん! わたくし! 決して諦めることなく、カードをドロー致しますでございますですわ!」
「そうだ、その心が大事なのだよルイチ君! 自分の道を切り開くのは、いついかなる時にも自分だけだ! この俺に見せてくれ、君の生きた証を! 魂の加速を! 誇りを! 君こそが最後の挑戦者だ!」 
「んきょー! パッケージ中島様あああん!」
「なんか怖くなってきたんですけど僕。怖い、怖いよ吾妻家」


■つづく■